尖閣諸島問題

尖閣諸島問題を どう考えるか

半田 尖閣諸島問題が日中間の大問題にならないよう、双方の努力が必要だと思うが。

香田 日本政府は、「尖閣諸島については、日中間に領土問題は存在しない」が公式的立場。一方で、中国が 1970年代以降、尖閣領有を強硬に主張し始めたのも事実だ。難しいのは、建前の世界と現実の摩擦、この二つを同時に解決しなければならないこと。日本の立場は変えてはいけないが、重要なのは、現実的摩擦が紛争に拡大しないよう、あらゆる面から実行していくことだ。

半田 海洋法をはじめ国境での紛争に構える日本の法律や国際法が整備されていない面が多い。

 歴史的に釣魚島(尖閣諸島)が中国の領土であることは明らかだ。ただ今は3ヵ国とも景気回復などの困難に 直面しており、これを重大問題にする時ではない。外国的・平和交渉で解決するしかないし、いかなる軍事力行使も問題外で、一部の政治家の駆け引きに利用されてはならない。

マクデビット 米国の立場は2点。まず尖閣諸島は現在、日本の行政的管理の下にあるということ。2点目は、米国は公式に日中どちらの側にも立たないということ。「賢明な国家の指導者が、問題をうまく管理、制御してくれることを望む」というのが答えだ。

太平洋地域の 安全のために

半田 歴史的に、尖閣諸島が日本の領土あることは明らかですが、資源さえなければ何の問題もなかった。最後に皆さんの意見を。

ゴールドマン 海洋問題において今後米海兵隊が果たすことができる役割だが、一つは自衛隊と合同訓練を行い、西太平洋に有事のシナリオが展開しそうな場合は、より機敏に準備を整え、脅威を防ぐための強力を行うこと。中国がもし現状を変えたいと考えるなら、その意志決定に大きな影響力を与える価値ある方法だ。今後は協力できる分野、信頼欠如してる分野を見つけ、その克服方法を考える必要がある。多国間の合同軍事演習が増えているのは良い傾向で、米軍が参加する演習を中国は注意深く観察している。
 結局、海には人々を自然と結びつける性格があり、それこそがわれわれの最後の希望だ。

 この地域は地政学的にも重大な変化の時を迎えており、当事国の中・米・日は協力的なパートナーシップを構築すべきだ。協力は全ての人に恩恵をもたらし、対立は全ての人を苦しめる。

香田 中国の規範をわれわれが長年築き上げてきた国連海洋法条約との間に、時に大きなギャップがありダブルスタンダードになってきている。特に国際法の適用について、中国がどう解釈するのかがよく分からない。軍事予算だけでなく、ソフトや運用、意図など不明な点 をどう詰めていくのかだと思う。

マクデビット 米国は東アジアで積極的に関与し続けるだろう。米軍の前方展開能力の維持は、平和と安定をもたらし、それは経済成長を促し、経済成長は米・日・中の国益になる。少なくとも日米安全保障関係に関しては最善を期待し、最悪に備えるだろう。

半田 太平洋地域の安全保障は、実は身近なことに直結している。今回、海軍の専門家の話を通して、海洋安全保障に対する理解が深まったことと思う。

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